日照シミュレーションで失敗ゼロ!日当たりの良い家の設計術

日当たりのいい家に憧れて、南に開けた土地を選ぶ。家づくりを考える人なら、そう考えるのはごく自然なことです。けれど実際に家を建てて暮らしてみると、「思ったより暗い」「夏は暑すぎる」と感じるケースが少なくありません。

そうした“想定外の失敗”に共通して欠けているのが「日照シミュレーション」です。建物の配置・窓の位置・周囲の建物の影など、設計段階から「光の動き」を可視化することで、季節を通じて明るく快適な住まいを実現できます。

土地見学ではわからない!「見えない時間の光」を可視化する日照シミュレーション

「南向きの土地、日当たり抜群です」不動産の資料にそう書いてあって、土地を見学した日も、気持ちのいい晴れ空でした。ここなら大丈夫、そう思って家を建てたのに…。

住み始めてみると、思っていたより暗い。お昼なのに照明をつけている。隣の家の影になって、ほとんど日が入らずに寒々しい。

こうした“想定外”は、珍しいことではありません。

土地を見学する時間は、せいぜい1〜2時間。それも、天気がいい日の午前中や午後だけ。でも暮らしは、朝も夕方も、晴れの日も曇りの日も、春夏秋冬続いていくものです。

その「見えない時間の光」を設計段階で確認できるのが、日照シミュレーション。土地の形や隣の建物の高さ、季節ごとの太陽の動きをデータで読み解き、「この部屋に、この時間、どれくらい光が届くのか」を可視化します。

太陽の動きを味方につける日当たりの良い家の設計術

日照シミュレーションで重要なのが「季節による太陽の高さの違い」です。

夏|「大きな窓」で灼熱地獄!?暑さを防ぐ庇の設計

夏の昼下がり、リビングに差し込む日差しが強すぎて、カーテンを閉めてしまう。せっかくの大きな窓なのに、結局ほとんど開けていない。そんな経験はありませんか?

夏、太陽は高い位置を通ります。窓の真上から強い日差しが降り注ぎ、室温はどんどん上がっていきます。

ここで役立つのが「庇(ひさし)」や「軒(のき)」です。

庇を適切な長さにしておけば、高い位置にある太陽の光を遮ってくれます。直射日光が部屋に入りにくくなるので、室温の上昇を抑えられるのです。冷房の効きもよくなり、光熱費の節約にもつながります。

特に近年は、夏の暑さが深刻。明るい家にしたいからと大きな窓をつけると、光とともに熱もたくさん取り込んでしまいます。日照シミュレーションを使って「どの窓にどのくらい日差しが入るか」を事前に把握すれば、暑さを防ぎながら明るい住まいを設計可能です。

冬|太陽が最高の暖房に!部屋の奥まで光が届く家の秘密

冬になると、日が短くなり、部屋全体が薄暗く感じられます。でも実は、冬の太陽にも大きな魅力があります。それは、「光が部屋の奥まで届く」こと。

冬の太陽は低い位置を通るため、斜めから柔らかな光が差し込みます。リビングの奥、廊下の先まで光が行き届き、明るさや暖かさをもたらしてくれるのです。

ここで大切なのが、夏のところでお伝えした「庇」や「軒」の長さです。

夏の日差しを遮るために庇を長くしすぎると、今度は冬の光まで遮ってしまいます。逆に庇が短すぎると、夏の暑さを防げません。

夏は遮り、冬は取り込む。この両立ができる「ちょうどいい庇の長さ」を見つけることが、一年を通して快適な家をつくる鍵になります。

アムキットホームが全棟で日照シミュレーションを行う理由

「南向きの土地なら、明るい家が建つはず」土地探しをしている方の多くが、そう考えます。

しかし実際には、「南向きの土地が良いと思っても、なかなか理想の土地がない」「立地条件は良いが北向き」といった悩みを抱える方も少なくありません。条件の良い土地ほど、すでに誰かに取られてしまっている。予算に合う土地を見つけたら、向きが思い通りでなかった。そんなジレンマに直面することもあるでしょう。

けれど、諦める必要はありません。日照シミュレーションを使えば、どんな向きの土地でも、「建物をどこに配置すれば日が入るか」を俯瞰して見ることができるからです。

隣に3階建ての家が建っているか、道路の反対側にマンションがあるか、隣地との距離はどれくらいか。そうした土地ごとに違う光の入り方に合わせて、最適な建物の配置も、窓の大きさも、庇の角度も決めていける。

だからこそアムキットホームでは、土地選びの段階から、全棟で日照シミュレーションを実施しています。

「この土地で、どんな暮らしができるか」を確かめる

日照シミュレーションの目的は、ただ明るさを測ることではありません。

朝、ダイニングに光が入るか。昼間、リビングは明るいか。夕方、西日で部屋が暑くなりすぎないか。

そうした「実際の暮らし」を、お客様と一緒に確認しながら、間取りや窓の配置を決めていくためです。

「建ててから気づく」のではなく、「建てる前に知っておく」。それが、後悔しない家づくりの出発点だと、私たちは考えています。

エネルギーを減らし、暮らしを豊かにする

もう一つ、私たちが大切にしているのが、省エネ性です。環境省の調査によれば、家庭で使われるエネルギーのうち、冷暖房が約24%を占めています。この部分を、設計の工夫で減らせれば、光熱費の負担も軽くなります。

冬、南側の窓から日射を取り込めば、暖房に頼る時間が減ります。夏、庇で直射日光を遮れば、冷房の効きが良くなります。

快適で省エネな暮らしは、エアコンの性能だけでは実現できません。太陽の動きを理解し、それを設計に反映してこそ、叶うものです。

感覚ではなく、根拠のある設計を

ベテラン設計士の経験と勘は、もちろん貴重です。しかし、光の動きは複雑で、感覚だけですべてを予測するには限界があります。

だからこそ、データと経験を組み合わせることで、より確実な設計ができると考えています。

明るさも、快適さも、省エネ性も。すべてに根拠を持って向き合う。それが、長く安心して暮らせる家をつくる、私たちの姿勢です。

家づくりのご相談や日照シミュレーションのご質問など、どうぞお気軽にお問い合わせください。