家の間取りを決める時、多くのご家族が「本当にこれで大丈夫かな?」と不安になります。お引き渡し後に「もっとここを広くしておけば良かった」「この収納、使いにくくて結局物置になってしまった」そんな後悔を避けるために、アムキットホームが実際に行っている「1000の質問」という取り組みをご紹介します。
打ち合わせで見えてくる間取りの落とし穴

多くの住宅会社で行われている間取りの決め方を見てみると、確かに合理的。しかし、実際に住んでみると、ライフスタイルと合わずに「あれ?」と感じる部分が出てきがちです。
よくあるケース1. 漠然とした要望のまま進んでしまう
「3LDKで35坪ぐらいのプランを…」というざっくりとした依頼を受けることがありますが、アムキットホームではお断りしております。なぜなら、お客様のことを何も知らないまま考えたプランでは、何十年も住み続ける家を設計することはできないからです。
最初は「収納の多い洗面所を」というご要望でも、詳しくお聞きすると「家族全員が朝7時台に身支度をするので、洗面台が大渋滞」「ドライヤー・電気シェーバー・電動歯ブラシの充電が同時に必要なのに、コンセントは2口しかない」などの問題が見えてくることも。
よくあるケース2. 憧れのイメージが先行してしまう
SNSで見たおしゃれなキッチンやモデルハウスの美しいリビングに憧れて「こんな感じにしたい」とおっしゃる方も多いのですが、実際の暮らしぶりをお聞きするとフィットしないことも。例えば、広々としたウォークインクローゼットに憧れているけれど、実は衣類の数は少ないので他のスペースを広くした方が良い場合などです。
よくあるケース3. 「今」しか考えずに間取りを決めてしまう
注文住宅はご夫婦で打ち合わせに参加されることが多いのですが、後からお子さまやご両親から「こんなはずじゃなかった」と言われないことも大事です。例えば、「お子さまの習い事の道具の収納場所」「おじいちゃんおばあちゃんが遊びに来た時の過ごし方」など、今のお困りごとだけを解決するのではなく、将来の暮らし方を家族と話し合っていくことも重要です。
アムキットホーム独自の「1000の質問」とは?

一般的な住宅会社の間取り決めでは、ご家族の「本当の要望」は見えてきません。そこで私たちが行っているのが「1000の質問」です。
お申し込みをいただいたご家族に、かなり分厚い質問シートをお渡しします。小学生の夏休みの宿題くらいのボリュームがあって、最初は皆さん「えー、こんなに?」と驚かれることも。
でも、この質問シートを家族全員で取り組んでいただくことで、普段の何気ない会話では出てこない具体的な暮らしの様子が見えてきます。
実際の質問例を少しご紹介すると…
「左利きの方は何人いらっしゃいますか?」
→ 洗面台の配置やキッチンのレイアウト、ドアの開け方が変わります。
「お持ちの服の枚数はどのくらいですか?」
→ クローゼットの奥行きや高さ、ハンガーパイプの本数、設置高さなど本当に必要な収納面積をご提案できます。
「車の運転は得意ですか?苦手ですか?」
→ 駐車位置、駐車場のサイズ、駐車方法、将来お子さまが免許を取得したときの駐車スペースなどを一緒に考えます。
「将来、ご両親との同居をお考えですか?」
「仏壇を引き取る予定はありますか?」
→ 可変性の高い間取りをご提案いたします。
質問シートをお渡しした後は、だいたい2週間後に次の打ち合わせを設定するのですが、多くのご家族から「まだ書き切れていません」「もう少し時間をください」というお電話をいただきます。それだけ真剣に向き合ってくださっているということです。
1000の質問シートに取り組んだ後の変化

「こんなにたくさん答える意味があるんですか?」と思われるかもしれませんが、実際に取り組んでいただいたご家族からは前向きな反応をいただきます。
「自分たちの理想がはっきり見えてきました」
詳細な質問に答えることで、漠然としていた理想の暮らしが具体的な形になってきます。「広いリビングがほしい」だった要望が「家族4人でソファに座って、テレビを見ながらそれぞれ違うことをできる空間がほしい」という具体的なイメージに変わりました。
「しっかり家族会議ができました」
質問シートをきっかけに、普段は話さないような将来の話や、お互いの生活習慣について家族で話し合う時間が生まれました。「なぜ旦那が洗面所で毎朝髪を洗っているのかが分かりました。デザインよりも掃除しやすい洗面にします。」「義理のお母さんは将来のことをあまり話して来ないけれど、一緒に住みたいと考えていることを知れました」といった発見も。
「打ち合わせがスムーズになりました」
これだけ詳しい情報を整理してからプランを作るので、「なぜここにこの部屋があるのか」「なぜこの広さなのか」が明確になりました。結果的に、無駄な打ち合わせが生じずに良かったと思います。
注文住宅の間取りにじっくり時間をかけることの大切さ

注文住宅の間取りは「急がない」ことが何より大切だと感じています。無料でパパッと作ってもらえるプランでは決して見えてこない「ご家族の本当の理想の暮らし」を見つけることが、後悔しない家づくりの出発点です。
1000の質問は、単なるアンケートではありません。ご家族全員が家づくりについて本気で考え、本音で話し合うためのツールです。時間はかかりますが、この過程を経ることで、本当に満足できる住まいに近づけると確信しています。
間取りでお悩みの方は、まず「自分たちはどんな暮らしがしたいのか」をじっくり考えることから始めてみませんか。時間をかけて家族で向き合った分だけ、理想の住まいに出会えるはずです。